『Eccentric Love』











「最近さぁ、ラドラス様の容態、随分と悪いみたいだね?。」

「そうだな。」

「城中で戒厳令が敷かれてるから、一応外に情報は漏れないようになってるけど。あれではおそらく年を越せないだろうってさ。」

「そうか。」

「そうか、ってまるで他人事みたいに言うんだね、…ってそんなはずないか。…これから色々と騒がしくなるんだろうし。…特に閣下には、例の『噂』もあるし?。」

「…噂?。」

「な んだ。もしかして聞いてない?、面白いやつだよ。閣下がリンドブロム王家の養子になって、次期国王になるっていうやつ。…でもって年内にもカレギア中で異 種族間婚姻を合法化する布告を行って、同時に虚弱なハーフの児を救済するための専門の医療機関を全面的に整えて、ハーフの地位も純血のヒューマやガジュマ と同等に引上げて正式に市民権を与えよう、ってやつさ。ま、こういうのも他種族混合国家のお題目のお気楽な妄想なんだろうけどさ。」

「随分と突飛で、この国のあらゆる現実を無視した発想だな。」

「ふ ふっ、そうかなぁ。現在の第一位継承者があの姫様じゃ、こういう噂が立つのも無理もない、ってことなんじゃない?。姫様、閣下に夢中だし。実際問題、政治 や軍事の後ろ盾として閣下以上に頼りになる人いないからねえ。…それに閣下を王家に丸め込んで得するのがどのあたりかって考えてみれば、この噂の出所源も 自ずと知れるというものさ。」

「…馬鹿馬鹿しい、ありえんな。」
























「は ははっ、…そう言うと思ったよ。だって閣下が欲しいのは王政の玉座なんかじゃなくて、カレギアそのものだものね?。あなたみたいな人が、言われるままに王 家に納まって、大人しく婿養子やって政務に励んでニコニコ外交に勤しんでいる姿なんて、想像もできないよ。それに…。」

「それに?」

「閣 下はそもそも『半端者』がお嫌いだ。表向き穏健派で無類の忠義者として有名で、その実誰よりもこの国の行く末を憂いていて、いずれ自ら改革していこうと目 論んでいる将軍閣下は、王宮に跋扈する腑抜けた貴族連中が嫌い。異種族間婚姻のタブーを侵して生まれたハーフが嫌い。…愛国の信念も無ければ忠誠心も持た ないくせに、国王側近の武力組織として徒党を組んでるフォルス能力者が嫌い。…ねえ、フォルス持ちヒューマの僕なんか、実はその『半端者』の最たるものな んじゃない?。」

「…気が変わった。」

「え?」















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