『Secret Christmas』










警備統括の上に式典に宮中晩餐会か。
 こういう公式行事では、ラドラス陛下の隣が閣下の指定席。
 多忙なスケジュールに都合をつけて、会ってくれるのが、
閣下にとっての最大限のサービスなんだろうし、24日の夜に
この人から誘われることは、さぞかし名誉なことなんだろうね。
 
 でも閣下ってホント、自意識過剰の権化だよね。
 僕の予定がどうかなんておかまいなしなんだから。
 僕がその日、予定空いているとは限らないじゃない?。

 いつもは夜中だろうと構わず使いを寄越して一方的に呼び出すくせに
今日はわざわざ自ら出向いての密会のお誘い?。
 まったく念の入ったことだね。
 


















気が向いたときに部屋で会って、好きなだけセックスする。
悦楽も共有感もその場限り。
それが僕たちの関係、僕たちの距離。
それでいいのに。
何でよりによってあなたのクリスマスイブの相手が僕なんだよ。

そういう『特別の日』は僕なんかより他の誰かさんに使った方がよほど有意義だと思うけどね?。
 













 「サレ…?」




「…。」















「何でもないよ。…了解。23時30分に行けばいいんだね。」








 例えば来年のこの日がどうだとか、先のことは分からないけど、
 とりあえず今年は。  
 






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