『束縛的記憶(6)』 








  ウッドロウは、ベッドの枕側に大きなクッションをいくつも重ね置き、そこに背をあずけさせるようにしてジューダスを座らせた。
 ジューダスは、促されるまま大人しくそれに従ったが、視界を封じられ不安そうに俯いていた。
 まるで知らない相手と対峙したかのような、ジューダスの緊張に怯えた態度を見ていると、ウッドロウは自分の中になおさら不快な苛立ちの感情が沸き起こる のを抑えることができなかった。
 残忍さにも近い気分を抱えたまま、俯いたジューダスの正面に向き合うと、その華奢な両膝を掴み、強い力をかけて一気に内腿から大きく割り開らかせた。
「や…っ。」
 途端、ジューダスの身体が緊張する。
 突然の暴力に非難の声が上がったが、ウッドロウはそれを冷たく黙殺した。
 ジューダスは相手のその冷淡な反応にすぐさま顔を逸らし、唇を噛み締めてその屈辱的な姿勢と、注がれているであろうウッドロウの視線の気配に耐えた。
「健気なことだね。…レイプでもあるまいに。そんな拷問に耐えるような顔をしないで。」
 宥めるようにそれだけ言うと、薄く笑いながらウッドロウは、ベッドサイドの引き出しからローションの入った瓶を取り出し、たっぷりと掌に取り、それを ジューダスの身体の中心に乱暴に塗りつけた。
「…あ!。」
 急に与えられた液体の冷たさにジューダスはびくりと身を屈めたが、すぐにそこに指が絡んできた。絡みついた指は、薄い皮膚の上を淫らに擦り上げてくる。
「…っ、待、てッ。」
 視界が無いため、行為に気持ちが追いつかない。
 ジューダスの制止の声にもウッドロウは無言だった。
 そして更なる執拗さで、その塗り付けたローションのぬめりを借りて、感じやすい箇所に刺激を与えてきた。
 止める気の無い相手にジューダスは諦め、息を詰めてそれに耐えることに意識を集中させようとした。
 しかし目隠しの向うで相手が無言でいることが、もはやこれからの行為において、一切容赦が無いのだということを思い知らせているようだった。
 追い詰め煽り立てる意図だけを含んだ指の動きに、無理に悦楽は引き出されていき、呼吸がすぐに不規則に荒くなる。
「…っ。」
 瞬間、腰の奥の方に針で突かれたようなうずきが走り、続いて急激に不快な熱が流れ込んでくる。
 堪らないようなそれを少しでもやりすごそうと、ジューダスは血が滲むほど強く唇を噛み、俯いたまま、かぶりを振って悪あがきをする。
 しかし身体は簡単に心を裏切り、いくらもたたないうちに耐えがたい熱に支配されてしまいそうだった。
 それでもジューダスの表情の中に苦悶以外のものが僅かに混ざり出した頃、ウッドロウはその変化を少しも見逃さず、指で探り当てた特に敏感な箇所を爪を 使って強く擦り上げた。
「痛…ッ」
 苦痛の声が上がったが、指の力は加減されなかった。
 愉悦は途端に苦痛にすり変わり、視界が無いため恐怖ばかりが増幅されるようになる。
「う…。」
 苦痛を訴えても容赦もされず、自分の身体も声すらも少しも思い通りにもならず、目の前の征服者の思惑に怯えながら、あっけなく反応を見せてしまうことが たまらなく嫌だった。
 ふいに自分の顔に射るような視線を感じてジューダスは身を竦ませた。
「…、や。」
 煽り立ててくる指に悪意を感じる。動きに激しさが加わり、ジューダスはそのまま、急な勢いをもって引きずり上げられていき、指の中で限界まで昇りつめさ せられ、その最悪の瞬間、身体を小さく痙攣させた。
「…っ。」
 ジューダスは激しい羞恥に身動きもできずに息をはずませた。しかしすぐに指はするりと身体の奥の方に伸びてくる。
「あ…ッ!。」
 固く閉ざされた入り口をこじ開けようとする感触がある。そしてそれは、最奥を押し開き、強引に身体の内部に入り込んできた。
「ぅ…、」
 痛みに身じろぐと、指がもっと深いところまで入ってきて、内臓に直接感じる異物の不快感に、ジューダスの肌に新しい汗が滲んだ。
「ん、く…。」
 息をつめて、食い込みそこを荒らし蠢く感触に耐える。
 脚を大きく開かされ、身体を指で繋がれた無様な姿を相手が笑う気配がする。 
 内部で指が曲げられた。
「うぁ…っ。」
 そのまま一点に強い刺激が加えられ、ジューダスの腰が大きく跳ね上がった。
 上げられる悲鳴と鋭く反応を返す箇所を狙って指の先がなおも執拗に蠢いてくる。
 敏感な箇所ばかりを捏ね回わされては、唇を噛み締めても、身体にいくら気を溜めても長くは保ちそうにない。
 身を竦めても、奥の方を抉られれば簡単に身を捩らせ挫けてしまう。
 もう、顔は熱湯を浴びせかけられたように熱くなり、目尻に涙が浮かんできた。
 小刻みに身体を震わせて到底無反応を装うこともできなくなったジューダスの姿を見ながら、ウッドロウの指の動きに執拗さが増してきた。
「やぁ…、う。」
 拒否の言葉が喘ぎに変わり、語尾は甘く上ずった。
 身体は勝手に悦楽を追うようになり、一度、声を堪え損ねてしまうと、次々と溢れる喘ぎをどうすることもできなくなる。
 ジューダスは半ば絶望的な気分になって、思う様内部を荒し蠢く指の動きに翻弄された。
 含み笑いが聞こえる。
 朦朧としてきた意識の中で、視界の向こうの相手が、煽り立てられ追い詰められていく自分の反応を楽しんでいることがはっきりと分かった。こっちが声を無 理に押し殺したりすれば、相手は余計とじらしにかかるようだったが、そうだと分っていても、もうどうすることもできなくなっていた。
 しばらく弄られて、ジューダスの喘ぎの中に、到底本意ではない訴えるような甘さが色濃く混ざり出したあたりで、ウッドロウはサイドテーブルの上の読書灯 のスイッチに手を伸ばした。
 パチンと乾いた音が室内に響き、布で封じられた視界の向うが赤っぽい光を帯び、室内が灯りで満たされたことがわかった。
「ッ!、やめろ…ッ。」
 そのことさらこっちを貶めるような行為に対する懸命の抗議も、身体の内部に直接与えられる刺激によって押し出された喘ぎに寸断されてしまう。
 両脚を大きく開いた無残な格好を明るいライトに照らされたまま、ジューダスの喘ぎが屈辱に揺れた。
 ふと、ウッドロウの指が引き抜かれ、そこを離れた。
「…。」
 少しだけ追い詰め煽る刺激から解放され、ジューダスは浅く乱れた呼吸を整えようとする。
 しかし封じられた視界の向うで、ウッドロウがベッドサイドの引き出しから何か取り出しているような動きがあるのを察し、ジューダスは見えぬ視線をそちら に向けた。
 カタン、とサイドテーブルに何かが当たった硬質の音がする。
「…?。」
 続いて、カチ、というスイッチを入れたような音がした直後、機械の細かな振動音が聞こえてきた。
「…!。」
 その音には過去、覚えがあった。かつての忌まわしい記憶が蘇り、途端ジューダスの顔が蒼白になる。
 ウッドロウは、ゆっくりとジューダスの方に振り返り、細かく振動するそれを、ジューダスの頬にひたりと当て、それで円を描くようにしてゆるゆると撫で た。
「い、…嫌。」
 その凶暴さを内包したような器具の冷たい感触に、ひくりと表情を強張らせ、ベッドの上をわずかに後じさって逃げを打つジューダスを愉快そうに見つめ、 ウッドロウの唇に酷薄な笑みが浮かんだ。
 正面に向き合ったまま脚を大きく開かされた態勢では何の抵抗もできない。
 これから与えられることになる苦痛の予感に恐怖し、唇を噛み締めながら懸命に顔を逸らしてせめて自分の醜態を想像しないようにすることしかできない。
「…いっそ君も愉しんだ方が、楽になると思うがね。そうでなければ、こんなの、きっと君には苦痛なだけだろうに。」
 耳に吹き込まれる吐息とともに、ウッドロウが咽の奥で笑う声が聞こえた。
 ウッドロウは、今度はその手に持った器具の先端をジューダスの胸の突起に押し付け、強めになぞり上げた。
 同時に指が脚の間に落ち、そこをするりと掠めた。
 次にどこから刺激が与えられるのかも分からずに、その悪意の込められた行為から少しも逃れることすら許されない。
 見えないことは、それだけでひどい恐怖だった。恐怖はそのまま下肢に揺らめく熱を増幅させ、それに精神を思う様侵食される。
 相手は、追い詰めながらそれに耐えられなくなるのを待っているのだ。
 吐息は浅く切れ切れに乱れ、全身は炎に包まれたように熱く、征服者のように対峙する相手に弄ばれ、身を竦ませるしかできなくなっていた。
「あ…ッ、」
 ふいに器具の先端がみぞおちに押し付けられた。それは次第にかなりの力を込められていき、ゆっくりと身体に食い込んできた。
 じわじわと腹部に加えられていく圧迫感に浅く乱れていた呼吸が寸断された。
「う…っ。」
 呻きながら自由にならない呼吸を少しでも求めて唇が開く。
 けれどそこから漏れるのは、呼気というより掠れた悲鳴になっていた。
 それに狼狽えたようにジューダスが唇を噛み締めようとすれば、また、ウッドロウは同じようにみぞおちの辺りを強く圧迫してそれを邪魔してきた。
「舐めてごらん。」
 器具で散々に身体を嬲られたあと、口元にそれの先端が突きつけられた。
 唇にあたる硬質の感触がある。
 ジューダスが黙ったまま唇を閉ざしていると、それで突かれ、口を開けるように無言で命令してきた。
「こじ開けられたい…?。」
 蔑むようにそう言ったウッドロウの言葉に一瞬、目の前が赤くなるような不条理な怒りを覚えたが、ジューダスは固くシーツを握り締めると、無言のまま、突 きつけられた器具に唇をかぶせて舌を絡めた。
 器具の冷たい感触が舌先に当たり、ジューダスは見えない対象にゆっくりと舌を這わせた。
「そう、…舌を使ってよく舐めた方がいい。…上手だね。」
 からかうような口調でそう言われたが、ジューダスは何も聞こえないふりをして、その淫らな行為だけにひたすら意識を集中した。
 しばらくそうしていると、ウッドロウの指が、ジューダスの奥に触れてきた。途端にジューダスは、びくりと身を竦ませ、一瞬、口から器具が外れたが、口元 には依然としてそれが突きつけられている。
「ん、…う。」
 ジューダスは這わせる舌の動きを止めることも許されないまま、執拗に奥をまさぐってくるウッドロウの指に弄ばれた。
 ふいに口元から器具が離れた。
 それが何を意味するのかを瞬間的に察したが、遮る間もなく、身体の奥の部分に、それを押し付けられ、次に続く行為の予感にジューダスの口から思わず、 ひっ、という引き攣った声がもれ、その恐怖に、反射的に膝を閉じ、逃げを打った。
「あ…、」
 怯え切ってベッドの上で後じさろうとするジューダスの姿に、ウッドロウは、ふう、と乾いた溜め息をつき、やれやれといったふうに、一旦、手に持った器具 をシーツに置き、ジューダスに向き合って、その両膝を掴むと、また酷い力で大きく割り開いた。
「今の自分の立場、分かっているね?。」
 優しく言い聞かせるような口調でありながら、この上なく残酷な言葉に凍りつくジューダスを、く、っと咽で笑い、拘束の意図を込めて膝をゆるくなで上げ た。
「安心したまえ、いきなり挿れるようなことはしないよ。」
 耳元で優しげに言うなり、また右手にもった淫らな器具で、わき腹や内腿をこすり上げ、その度に反応を返す敏感な身体を嘲った。


「君の名前は…?。」
 細かく振動するバイブレーターの先を、肌に這わせながら耳元で優しげに問う。
「…っ。」
 ジューダスは、問われた言葉に朦朧とした意識からふいに引き戻された。
「どうしたんだい…?。私に抱かれている君は誰?。」
 ウッドロウの声は低く穏やかだったが、その声の中に潜む陰惨さをジューダスは感じ取っていた。
 けれどその言葉には、どこか悲しい願いのようなものも混在していることを知っている。
 リオンかジューダスか、それを自分の口ではっきり言えということなのだろう。
 これまで抱かれているうちにはっきりとした。ウッドロウの愛しているのは、『ジューダス』ではなく、あくまでも『リオン』。18年前に、あのヒューゴに 逆らうようにして魂を寄せ合った。
 そのときのまま、何も変わっていないのだ。
 この部屋に来れば、一度たりと『ジューダス』と呼ばれたことは無い。意図的にそう呼ぶことを避けている。そしてこの部屋を出てしまえば、仮面を外すこと もできない。
 『リオン』でいられるのは、まさにこの瞬間だけのことなのだ。
 しかし果たして、この場で自分はリオンであると。そう言うだけで、この誇り高い男が満足するのだろうか。
 失われた過去は、過去をそのまま再現しようとすることでしか埋められないと言うのなら、当時の姿のままの自分を前にして『リオン』を想い、どう抱いてく れてもかまわない。
 けれど今は、その行為ですら、あくまでも互いの取引の延長上にあるのだ。
 差し伸べた手は、どうか未来とそして本来の歴史を見据えた判断と善意であって欲しい。
 誤った歴史の中で果たされた再会に耽溺し、過去に囚われて後悔と罪悪感と、もう憎しみと区別のつかないくらいに色を変えてしまった思慕にまみれたウッド ロウを見るのは苦しい。
 今はどれほど受け入れがたくとも、どうか分かってほしい。
 ウッドロウが応えを促すように、バイブレーターの先をジューダスの胸の突起に押し付けた。
 く、っとジューダスが歯を食いしばる。
「僕は…、ジュー、ダス…。」
 逆らう意図など含ませたつもりはない。ただ、判ってほしいという気持ちだけだった。
 けれど、そう言ったとたん、目の前の空気がざわりと動くのを感じた。
 そしてそれはありありと凶暴な色を呈するものに変化した。
 ウッドロウは、ジューダスの内腿の奥に左手を差し入れ、乱暴に指を食い込ませるようにして秘所を暴くと、そこにバイブレーターを押し付けた。
 封じられた視界の中の急激な変化と、その敏感な箇所に押し付けられた硬質の感触に、ジューダスの身体がびくりと震えた。
「あ!、嫌だっ、やめッ…!。」
 叫びのような懇願にもウッドロウは耳をかさず、それをジューダスの身体に一気に突き立てた。
「うあぁああッ!。」
 鋭い悲鳴が上がったが、かなり無理な力を使って器具を奥に沈めた。
 突き立てられ、軋みながら肉を割り抉られる感覚に、ジューダスは全身でもがいて背に当てられたクッションの上をずり上がった。
 けれどその必死の逃げを嘲うかのように、ウッドロウは手元のリモコンで、スイッチを切り替えた。
 すると、それはジューダスの内部で蠢くような激しい動きを始めた。
「ああああッ!。」
 身体の奥に埋め込まれたそれの淫らな動きに、ジューダスは身を捩じらせもがいた。
 ウッドロウは、身を捩じらせて少しでも刺激から逃れようとするジューダスの、両足首を掴んで、ベッドの中央に引きずり戻し、大きく脚を開かせた状態に固 定した。
 そしてシーツを掴んだジューダスの右手を無理にそこから引き剥がし、それをジューダスの脚の間に導き、埋め込まれた器具の端を掴ませた。
「さあ。自分で出し入れしてみるんだ。」
 ひどく優しげな口調で、残酷に言う。
「……い、いやぁッ、う…、くッ。」
 激しくかぶりを振って拒絶の意を示す。
「聞こえなかったかい、この程度じゃ君には物足りないだろう?。自分で動かして突いてごらん。」
 そう言って、またジューダスの手をそれに押し付けた。
「い、嫌…だッ。も…っ、…って。」
 ジューダスは激しく首を左右に振る。
 その切れ切れの懇願にウッドロウは、「仕方のない子だ。」とだけ言うと、ジューダスの中に埋められているバイブレーターの端を掴み、それを前後に突き動 かした。
「あああぁぁッ!。」
 蠢くままのそれに内壁を突かれ、掻き回され、その度にジューダスの身体が酷く反り返った。
 全身が汗にまみれたまま、抉られるときの不快感に吐き気が込み上げてくるようだった。
 身をよじり、喉を震わせて苦痛に喘いでも、ひっきりなしに上がる声は、やがて哀願するようなすすり泣きに変わった。
 蹂躙され、苦痛に呻き、それでも身体に与えられる刺激に感情と思考が麻痺してしまったかのように、身体は勝手に淫らに揺らめく。
 けれど、わずかに残った理性がそうさせるかのように、刺激の苦痛から逃れようと、ジューダスは身を捩り、シーツを強く掴み、耐えようとした。
 全身が汗にまみれ、身体を淫らに揺らめかせる無残な姿を晒したジューダスをウッドロウは冷ややかに見下ろしていた。
 こんなふうに陵辱するのは、黒く濁った欲望を満たすためなのか、それとも嫉妬からなのか。たとえ嫉妬からくる感情だとしても果たして何に嫉妬しているの かすら分からない。
 変わってしまった。18年の間に。自分も、そして姿は何一つ変わらない彼ですらも。
 ならば確かにあのときたしかにあった、巨大な力に逆らうようにして愛を寄せ合ったこと、大切な記憶、何物にも替えがたい感情は一体どこに消えてしまった というのだ。
 どれほど愛していたって、それを何度言葉にしたって、結局は今を受け入れられず、それを大切にすることすらできない。
 手に入れられないものに歯噛みし、絶望し、壊してしまうことしかできない。
 愛を盾に助力を求めた彼と、その囁かれた愛に過去を取り戻したい一心で便乗した自分。
 こんなことをしたって、彼は手に入らない。こっちをまともに見てすらいない。
 これが『ジューダス』だからであるとかそういう問題ではなく、彼がたしかに『リオン・マグナス』であったときから。
 決して自分のものにはならないものだったのだ。
「…って、くだッ…。」
 ジューダスの唇が何かを告げようと動いた。
 ウッドロウは目を見開いた。
「…ッ、…おかして、…ッ、」
 最初に強要した服従の言葉を必死に絞り出そうとしていたが、語尾は下肢を蹂躙する刺激に無残に途切れた。
 ウッドロウはスイッチを切らずにバイブレーターを一気に引き抜いた。
 その衝撃にジューダスの身体が、がくんと大きく跳ね、喉から掠れたような悲鳴を上げて果てた。
 半ば、気を失ったようになって、縋るようにシーツを掴んでうずくまったジューダスの身体を、ウッドロウはまるで物でも扱うかのように無造作に引っくり返 して仰向けにし、両膝から高く抱え上げ、呼吸を一旦止めるようにして、そこに自身をあてがった。
 目に覆った布の上からでも、ジューダスの頬が涙に濡れていることが分かる。
 しかしそれを振り切るようにしてウッドロウは身を進めた。
「ああああぁッ!。」
 ジューダスの口から鋭い悲鳴が上がった。
 貫かれたときの衝撃に細い身体は無残なほど跳ね上がり、首を仰け反らせて、苦痛に圧しつぶれたような呻きを上げた。
 揺すり動かされるたびに上がる声は悲痛に割れ、痛みは脊髄を突き抜けていき、神経をも引きちぎるかのようだった。
 それでも心の痛みは身体からくる苦痛を遥かに凌いでいた。
 身体の内部は、心を裏切り勝手に奥まで誘い込むように蹂躙者を受け入れ絡み付く。
 肉体の甘い酩酊感に眼を眇めながら、ウッドロウは、ジューダスの身体をより深く蹂躙し、そしてそのまま、手を伸ばして達したばかりのそれに乱暴な愛撫を 加えた。
 不自然に引き攣ったように下肢が強張り、次第に沸き起こる苦痛とも区別がつかない限界を越えた悦楽がひどくジューダスを苛み続けていた。
 ジューダスは息をつめて、ときおり呻くような声をもらして首を激しくふりたて、躯をよじらせていた。
 それは、必死になって何かを耐えて苦しんでいるようでもあり、鋭い悦楽に身を委ねているようでもあった。
 ウッドロウは、嬲るようにまさぐる指を休めもせず、また反応を見せてくる若い肉体を酷く折り曲げた。
 いたわりの欠片もないような、どす黒く濁った情欲が、ウッドロウの中で渦を巻いていた。
 リオンが欲しい。
 リオンの愛を独占したかった。求められたかった。
 かつて魂を寄せ合ったときのように。今度こそは、決して巨大な力に屈せずに。
 溶け合って共に生きていきたい。
 本当にそれだけだった。
  













 To be continued…






2004 0304  RUI TSUKADA



 髭王×坊でした。
 どーやって坊をヒドイ目に遭わせようかと思案した結果の目隠しプレイ。アーンド道具。
 それなりにエロくはなったかなー、とは思うが実際のとこ、どうなんでしょ??。
 あーでも、顔射やるのは自粛したんだよ。わはは〜。

 もー、日頃18禁なんて、BLサイト巡りで散々見慣れ読みなれしてるから、どのあたりまでくればエロなのか、さっぱり分からなくなってるねん。
 困ったもんだ。

 けど、ヤりっぱなしを書くのは体力使いました…、ホント。
 
 次回、『束縛的記憶(7)』
 兄貴登場、やっとこロニ×ジューダス。で、ヤオイ。←またか。